燃え尽きた'00夏 そして・次・へ
山崎雅俊選手(3年)小指骨折 激痛こえ、守備の課題克服
「プレーボール直後のストレートを狙ってたんですが、ついボール球に手を出して…。ファウルで相手投手を楽にしちゃったなあと、なんとなくいやな予感がしました」
試合開始直後にいきなり大三塁打を放った県大会決勝。その再現を狙った甲子園での初打席は結局、空振り三振に倒れた。4打数無安打3三振。桐一が誇る・核弾頭・の甲子園はあっという間に終わった。
今年5月の練習中に左手小指を亀裂骨折した。全治4週間のところを「試合に出たい」と、その半分の期間で復帰したファイターは、激痛に苦しみながらテーピングで固めて県大会を戦い抜いた。いまでも左手小指の第二関節は完治せず、約2倍の太さに膨れ上がったままだ。

「後輩たちにはぜひ甲子園
で一勝してほしい」。山崎の願いだ
そうした状態での甲子園。しかし打撃とは逆に、県大会3失策と不安視されたショートの守備は完ぺきだった。計10回の守備機会を無難にさばき、軽快な動きで併殺も2つとった。
「最後の最後で、自分の課題だった守備が克服できた。打てなかったのは相手投手がよかったから。骨折は関係ない。相手の実力が上だった。自分の力は出し切れたと思います」。吹っ切れたような表情で語る。
6人兄弟の五男坊。野球は14歳離れた長兄・幸男さん(32)から教わった。「兄たちも野球をやっていたが、甲子園出場はあいつだけ。一家の夢を一番最後にかなえてくれました」と父・強三さん(53)。「負けはしたけど、甲子園に来られて最高でした」という自慢の息子は、胸を張って帰郷するつもりだ。
熊川紀将選手(2年)「一球にすべて」後輩つれ来年くる
「なんとしても大廣さんにつなげたい」。その思いもむなしく投ゴロに倒れ、最後の打者になった。一塁を駆け抜けた直後から、涙が一気に込み上げた。2度目の甲子園で初めて経験する敗戦。チームを勝利に導けなかった悔しさに、相手校歌を聞きながら号泣した。
全国制覇した昨夏の甲子園では1年生で唯一ベンチ入りしたが、初戦突破後に体調を崩し入院。準決勝の樟南戦には代打として甲子園初打席を踏んだが、あえなく三振。体調管理、プレーの両面で課題を残した甲子園だった。
「きょうの試合の経験を大切にしたい」
と来季の活躍を誓う熊川
それだけに主軸打者として出場する今年の意気込みは違った。主軸打者として「体調も万全で、今年は野球に集中できた」。第三打席では右中間フェンスにワンバウンドで当たる三塁打を放ち、甲子園初ヒットを達成。去年の甲子園で得た課題を克服してきたはずだった。
しかしチームは完敗。「序盤に3点取られたときも自分のことで精いっぱいで、チームメートのことを全然考えられなかった。特に最後の打席は悔しいです。狙い通り直球が来たのに力んでしまって…」。自分の精神力の甘さを思い知らされた。
「打てる球は一打席に一球しか来ないし、その一球にすべてをかける思いが必要なんだということを学びました。監督、コーチがふだん言っている精神力とはこれなんだと」
先輩たちに連れてきてもらった2回の甲子園は終わった。「次は自分たちが後輩を連れてくる番。群馬に帰ってからレベルの高い練習をして、新チームを引っ張りたい」。甲子園は再び大きな・おみやげ・をくれた。
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